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八代小学校の奇跡の物語

 わたしたち「コルセイル」が、居住している埼玉県の地方都市でも先日、多くの小中学校で入学式が挙行されました。新型コロナウイルス感染対策をうたい、入場数を制限し、短い時間の中で、あるいはオンラインの配信をとおして。その様は、かつて天変地異のように子どもたちに降りかかった、長期臨時休校期間から少し前進したにせよ、本質的にはあまり変わらない、味気ない風景です。

 そして児童生徒は、栄えある式典の場ですら、今なお大人数で校歌を歌うことができません。そもそも学校現場で、合唱合奏は三密の温床のような冷遇を受けていて、とくに情操教育よりも学習指導要領と健康状態を優先せざる得ない公共教育では、人生でもっとも天真爛漫な年代の子どもたちの、大迫力のユニゾンは、有無を言わせず封じ込まれてしまいます。今日もどこかで、淡々と流れるピアノの伴奏にのせ、歌詞を黙読する子ども達…。美しく静謐な景色ではあるけれど、コロナ以後に入学した子どものほとんどは、入学以来いちども、校歌の全体合唱を経験したことがないと聞きます。


 そんなご時世に、全校生徒が一堂に会し、高らかに校歌を合唱した小学校がありました。

2022年1月21日。幸手市立八代小学校は、全校音楽鑑賞会を対面集会形式で実施しました。それは奇しくも、オミクロン株感染拡大に伴い、埼玉県を含む首都圏に、まん延防止等重点措置が適用された日でした。

 児童総数74名。複式学級、豊かな自然に囲まれ、素朴で愛くるしい八代小の音楽会。金子みすゞさんの詩を、音楽と朗読をまじえて鑑賞したり、大好きなK-POP曲に身体を揺らしたり、二台の電子ピアノだけなんて信じられないような、大迫力のオーケストラ伴奏に驚いたり。そしてサプライズのグランドフィナーレは、もう給食を食べる準備をはじめようとする頃に、大きなスピーカーから流れてきた、弦楽器の生演奏を合図に始まりました。校長先生DJのアナウンスに促され、子ども達みんなが、音楽室を取り囲むように少しずつ集まり、廊下、階段や、教室…それぞれの場所で、十分に距離を保ちながら、時おなじく声をかさね、コロナ以降はじめて、全員で歌う校歌を鳴り響かせたのでした。

 個人情報保護の関係で、当日の録画を公開することはできませんが、八代小の六年生の卒業記念プレゼントとして、コルセイルがみんなのリクエストを反映しながら編曲した、校歌のオーケストラ伴奏音源をYouTubeにあげました。ぜひのぞきに行って、校舎のすみずみまで幸福な音楽で満たされた、あの日の小学校の様子を想像してみてください。










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